新会長・小田登志子さんにインタビューしました

国分寺市国際協会8代目会長 小田登志子さん インタビュー(全文)

聞き手は「広報部会」

 

 1991年の設立以来、国際協会の会長は東京経済大学の先生につとめていただいています。2021年度には8代目となる会長に、東京経済大学 全学共通教育センター 准教授の小田登志子さんが、女性として初となる会長に就任されました。

書面インタビューの形で、小田さんにお話をうかがいました。【2021年6月 広報部会】

 

これまでの経歴について

 

広報部会(広): 会長就任おめでとうございます。かんたんに、これまでの経歴などを教えてください。

 

小田さん(小): 愛知県豊田市の出身です。愛知県で大学院修士課程を修了したのち、米国コネチカット大学で博士課程(言語学)を修了しました。その後、東京経済大学で勤務するために2004年から国分寺に住むようになりました。また、2009年~2010年度は研究活動のためコネチカット大学およびマサチューセッツ工科大学に在籍しました。2015年度と2018年度(夏季)には、東京経済大学と協定関係にある対外経済貿易大学(中国・北京市)に交換教員として赴任しました。

 

専門分野、これまでのお仕事について

 

 (広): 地元の東京経済大学の先生としてのご専門や大学でのお仕事などについて教えてください。

 

(小): 研究分野は意味論を中心とした理論言語学です。人間には先天的に抽象的な言語の知識が備わっているという仮説があります。したがって、世界に7000以上ある人間の言語は、人間が持って生まれた共通の土台の上に成り立っていると考えられています。言い換えると、世界の言語は一見すると互いに大きく異なるように見えるものの、実は似たような文法を共有しており、各言語の文法は一定の法則にしたがって異なっていることがわかっています。こうした人間言語のしくみを解明することが理論言語学の課題です。

 

 東京経済大学では「英語」「言語学」などを担当しています。2021年度前期の「言語学」では、国際協会会員を含む国分寺地域にお住まいの外国語話者をゲストにお招きして、言語紹介を行っています。紹介する言語はベンガル語、中国語、インドネシア語、モンゴル語、スペイン語、ベトナム語、ウルドゥー語、スロベニア語などです。学生は私の講義よりもゲストによる言語紹介のほうを楽しみにしているようで、毎回大きな反響があります。

 

 授業の他に、学生の海外留学を支援する活動を行っています。国分寺市の姉妹都市であるマリオン市(オーストラリア)と協力して、2014年度に「豪マリオン・フリンダース地域交流プログラム」を立ち上げました。この海外研修プログラムは現在も続いています。

 

※ 参考:センター日記「多言語化する地域社会の理解に資する言語学

http://tkucenter.blogspot.com/2021/05/blog-post.html

※ 参考:2015年2月に東京経済大学の学生がマリオン市を訪問し、Kris Hanna市長と懇談

https://www.marion.sa.gov.au/about-council/kokubunji-marions-sister-city

 

本協会での活動歴

 

(広): これまでも国際協会には会員として参加されてきています。どんな活動してこられたんですか。

 

(小): 2019年度より、日本語教室(夜)でスタッフとして活動しています。2015年に1年間中国に滞在して2016年に国分寺に戻った際に、市の在住外国人が一気に多様化していて驚いたことがきっかけでした。長年通っている国分寺駅前のスーパー「マルエツ」のレジ待ちの列に並んでいても、後ろの人が話している言語が何語かわからないことがよくあります。私は専門が言語学のため、こういった様々な言語を話す人々と親しくなりたいと思い、日本語教室に参加することにしました。今までに中国、ベトナム、アメリカ、バングラデシュ出身の学習者とペアを組みました。よく教室スタッフの方は、「教えることよりも学ぶことが多い」とおっしゃいますが、自分も同じように感じています。

 

これからの抱負

 

(広): 小田さんで8代目、しかも初の女性会長となります。会長としてのこれからの抱負など、お聞かせいただけますでしょうか。

 

(小): 自分が初の女性会長だということは、後から指摘されて気がつきました。自分では特に意識していません。しかし、世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数2021」において、日本は調査対象となった世界156カ国中120位と低い順位であったことが報道されて話題になったばかりですので、国分寺市の男女共同参画に少しは貢献できたかもしれません。国分寺市は2020年11月に「国分寺市パートナーシップ制度」をスタートさせ、一方または双方が性的マイノリティである二人に対してパートナーシップ宣誓書受領証を交付するようになりました。市内で多様性を尊重する意識が高まっていると感じます。会員の皆さんと共に、国際協会が年齢、性別、国籍等に関わらず、広く市民に開かれた組織となるよう努力していきたいと考えています。

 

皆さんへのメッセージ

 

(広): 最後に、国際協会会員や国分寺市のみなさんへのメッセージをお願いします。

 

(小): 国際協会で活躍する会員の皆さんは、教養が高く社会奉仕の精神に富み、私はとても感銘を受けています。このような市民力こそが国分寺の財産ではないでしょうか。今後、国分寺地域に住んでいる人たちはますます多様化が進むと予想されています。こうした多様化には多少の困難はつきものですが、それらの困難を大きく超える豊かさが私たちを待っていると信じています。